見た目は、本当に良いと思ったんです。S660。
試乗してみて分かったんです。
あぁ、「売らなきゃいけない車」を作らされたんだな、と。
「売れなくても良い」として作られた初代インサイト。
「売れなきゃいけない」として作られたS660。
ここに、割り切りがあるか・ないか。大きな違いを生むのだな、と。
初代インサイトは、とにかく「初代プリウスの燃費に勝つ」ためだけに創られました。
トヨタ式のハイブリッド技術を持たなかったホンダ。
とにかく軽くすることにこだわり、売れなくても良いどころか、売れれば売れるほど赤字になる原価割れのアルミボディ。
乗車定員も2名、オプションもリアワイパーのみ。開発中はパワーウインドウも無くす検討もあったほど。
それくらい割り切られた車でした。
対して、S660。軽スポーツのコンセプトはありますが、さて「誰」向けでしょう?
若い開発者を擁して作り上げられた車は、昔、ビートに憧れた中高年のための車になりました。
自主規制に合わせた馬力、アクセルを踏んでも音だけ格好良くして実際は超遅い。ハンドルを切れば、MRとは思えないほど素直に動かせる過剰な電子制御。
確かに、主力な購買層である中高年を意識してみれば、あまり速い車は事故を招くでしょうし、やんちゃなリア駆動車を扱える反射神経は無いと判断したのでしょう。
そんな車を、これからの若い世代は期待してたのでしょうか?
経営判断としては、このS660を成功させて、次にS1000、S2000復活など意識しているのかもしれません。
が、目先の売れる世代に売るホンダ。創業者の想いは今いずこ?
そんなホンダである限り、これからも復活は遠いでしょう。
そんなホンダでなくなってくれることを、期待しています。一人のホンダファンとして。