別居の高齢の親に運転をさせないための条件

※タイトルは「高齢の親」としましたが、”親族”・”姻族”と読み替えてもokです。

親に「車の所有権を持たせない」ことが必須

高齢ドライバーが暴走したというニュースには、大体合わせて「免許返納」が話題に上がりますよね。

高齢者の”踏み間違い”事故相次ぐ「目の前に人がいるのに(発進し)ブレーキ踏んだらおばあちゃんが…」とヒヤリ体験も 警察は”免許証の自主返納”呼びかけ

でもね、違うんです。
免許があっても良いんです。
大切なのは車を無くすことなんです。

免許を返納したって、認知能力が低下すれば、そこにある車を運転してしまうんです。
免許を返納したことによって、逆に無免許・無保険の状態で事故が起こるんです。
本人がケガする・亡くなるだけなら自己責任ですが、相手に何の保証も出来なくなります。

事故が起こるのも悲劇ですが、相手に全く補償が出来ないのも悪夢ですよね。

大切なのは、その場に車を無くすこと。

リスクを深堀りしていけば、隣家の車を奪って運転をする…なども考えられますが、
これは相当ハードルが高いですから、一般的にリスクは低い。

自分が「もう親・親族には運転させられない」と判断したら、車を無くす。

これが出来るのが所有権。

車の所有者が自分であれば、その判断を下すことが出来ます。
使用者が親だとしても、処分に許可など要りません。自己判断で全てが完結できます。

親の判断力は低下するのみ。一日でも早く

最も高いハードルは、親の説得だと思います。特に男性の親。

団塊の世代が後期高齢者になっている現在ですが、彼らの多くは「運転が上手い」という自負を持って生きてきました。

これ自体が悪いとは言いませんが、自信が過信に繋がり、ヒューマンエラーを生み出します。

とにかく、親の判断力があるうちに議論を尽くすことが大事です。

問題を先送りしても、判断力が上がることはありません。加齢とともに減衰するのみです。

簡単に車を手放せない地方都市在住であれば、なおさら早々に対処することが重要です。

所有権を持つことによる制約

ここが一番厄介な、経済的な問題です。

【自動車保険】車の買い替えを予定しています。新しい車に保険は引き継げますか?

はい、保険契約を引き継ぐことができます。
ただし、下記(1)(2)の条件を満たさない場合は、ノンフリート等級および事故有係数適用期間は引き継げません。

(1)買い替え後のお車の所有者が以下のいずれかに該当する場合
・買い替え前と同一の所有者
・記名被保険者
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者またはその配偶者の同居の親族

つまり、以前の所有者が別居の親・今回の所有者が自分の場合、等級が引き継げません。

安全装置付きの車で割引が入ったとしても、年間数万円はアップしますから、痛いですよね。
この仕組み、保険会社に特例等検討して欲しいものですが、現時点ではこの制約が付きます。

悩ましいのは事実ですし、一般的には「それなら所有者を親に…」としてしまうと思います。

ただし、それは判断を先送りして事故の種を自ら埋めたに他なりません。

目先の負担を回避することで、自分の親が、人の命を奪うかもしれません。

確かにコスト負担は辛いのですが、自分の親を加害者にしないための保険と考えれば、決して高くないのでは?

制約による負担を低減するために

本記事を見られている方≒現役でお勤めの方だと思いますが、この場合、会社で「自動車保険の団体扱い割引」が受けられるケースもあると思います。

保険会社問わず、一般的に団体扱いとするには「同居の家族」が条件になっていますが、実は「扶養している別居の親族・姻族」も条件に記載されていることが多いです。

”扶養”というと、税扶養のように「年金の倍額の仕送り実績があること」などのハードルが高いイメージがありますが、保険会社の”扶養”の定義は、必ずしも健保扶養・税扶養と同じではありません。

経済的に支援をしていることが証明できれば、”扶養”認定されて「団体扱い」にしてもらえるケースがあります。

相談の結果、認定されないケースもあるかもしれませんが、認定されれば割引が増えるためノンフリート等級リセットによる加算ダメージを減らせます。

相談することにデメリットは無いですから、ぜひ契約の保険会社に聞いてみることをオススメします。


親や親族が、人をケガさせたり殺してしまうリスクを低減させられるのは、あなた次第です。

親や親族の、人生の最期を絶望で終わらせない。

不幸を減らすのも、いまの時代に合った親孝行のカタチだと思いますよ、私は。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする