営業活動における 心理的距離 の大切さ

法人顧客に対して営業活動をしている中で、
「まぁ、価格はちょっと高いけれど、足しげく通ってくれたし、今回は御社に決めるよ」
…と言われた経験がある人、いると思います。
この、”足しげく通ってくれた”という、顧客にとっての心理的距離が、
価格やサービスの差をひっくり返してくれることがあります。
これは、継続的にサポートが必要な商品を扱っている場合、特に顕著になります。
個人の場合でイメージしやすいのは、例えば車。
たとえ遠くのディーラが多少安くても、サービス(質)に大した差がなければ、
その後のことを考えると、近くのディーラにしておこう…と考えたりするのと同じです。
この 心理的距離 ですが、
■初訪問月の心理的距離
[1.顧客の期待する訪問回数] ÷ [2.実訪問回数] × [3.物理的距離] = 心理的距離
…として考えながら営業活動を行うと、競合他社に負けないような動きが出来ると感じています。
ちなみに、
■翌月の心理的距離
[1.顧客の期待する訪問回数] ÷ [2.実訪問回数] × [初訪問月の心理的距離]
■翌々月の心理的距離
[1.顧客の期待する訪問回数] ÷ [2.実訪問回数] × [翌月の心理的距離]
と、距離感は継続されていきます。
実例で考えてみます。
【例】
東京本社の顧客、 [1.顧客の期待する訪問回数] は 2回/月
・A社は東京に在り、[3.物理的距離]が近く 10km、訪問をサボリ1回/月
・B社は大阪に在り、[3.物理的距離]が遠く500km、訪問を頑張り4回/月
…3ヶ月後の 心理的距離 は、
<A社(東京)>
初月 : 2 ÷ 1 × 10km = 20km
翌月 : 2 ÷ 1 × 20km = 40km
翌々月: 2 ÷ 1 × 40km = 80km
<B社(大阪)>
初月 : 2 ÷ 4 × 500km = 250km
翌月 : 2 ÷ 4 × 250km = 125km
翌々月: 2 ÷ 4 × 125km = 62.5km
となり、
大阪にあるB社が、東京にあるA社より 心理的距離が近い という逆転現象 が起こります。
もちろん、心理的距離が近ければ近いほど、営業活動に優位に働くことは言わずもがな。
さて、この1~3のパラメータは、努力次第で変えることが出来ます。
◆[1.顧客の期待する訪問回数]
(1) メールや電話等、間接的な情報交換方法を用いて関係性を維持する。
(2) 継続して心理的距離を下げ続ける。(心理的距離が近くなればなるほど、訪問回数の期待値は減る。)
(3) [3.物理的距離]が遠いことを理由とし、訪問回数の期待値を下げる。
◆[2.実訪問回数]
これは、「足しげく通う」以外の方法は、ありません。
◆[3.物理的距離]
変えられないと思いがちですが、全国に展開している会社の場合は、
お客様の地域に合った名刺を持つ、という”裏ワザ”が使えます。
自分はかつて、それぞれ200km程度離れた3地域の名刺を持っていたことがありますが、
この”裏技”を使うために必要なのは、
(1) その土地に住んだことがあること。
(2) 至急で呼ばれたときに、直ぐに伺う覚悟があること。
(3) 体力があること。
…です。これが揃わない場合は、途中でボロが出るか、体を壊すので止めましょう。
【まとめ】
[3.物理的距離]が遠い顧客ほど、初期段階での[2.実訪問回数]を増やし、早めに心理的距離を近づける。
これによって、[1.顧客の期待する訪問回数]が下がり、効率的に顧客対応が出来るようになる。
なお、冒頭に述べたとおり、価格やサービスで差が少ない場合に有効であって、
その点で大きく劣ってしまうと、どんなに心理的距離が近くても勝てないのも、言わずもがな…
★補足1
[3.物理的距離] も、実際には人によって捉え方が変わるので、
厳密には [3′.顧客の考える物理的距離] が正しいですが、やることは変わらないので省略。
※東京~大阪を隣町程度に考える人もいれば、地球の裏側くらいに考える人もいます。
★補足2
この考え方は、たぶん恋愛にも応用できる、はず。

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